前回はAM7時からAM4時までという超長時間労働と暴力がはびこる
インテリア系ブラック企業について綴りました。
今回はその企業を退社後、
私が2社目に入社した企業についてです。
この会社は私が住んでいた地方で
地元密着型の雑誌を出す出版社でした。
超ワンマン社長系ブラック企業、
どうぞお楽しみください。
2社目、出版社に入社した理由
前職の漆黒企業を退社した後、
いくつかの会社の面接を受けました。
前職では、安い商品を作ることこそ正義、という仕事をしていたため、
次は「社会のためになる仕事をしたい」と思っていました。
そんなときに出会ったのがとある地元の出版社でした。
雑誌とフリーペーパーを出版しており、社員数は10名程度。
給料は大幅に下がりますが、
会社の掲げている「社会を良くする」という理念に感動して応募。
無事面接にも受かり入社したのでした。
この時もろくに企業調査を行わず、
転職活動で面接したのはこの会社だけ…
この甘さが原因で、
後悔することになるのでした。
とある地方出版社の給与、労働時間
ハローワークの募集要項には
試用期間3カ月
その後正社員となり給料18万~30万とありました。
実際には
勤め始めてから1年半、
正社員にはしてもらえず、
最低賃金のバイト扱いでした。
ブラック企業あるあるの虚偽の募集要項です。
勤務時間は9時から21時頃まで、
遅い時は23時になることもありましたが、
日付変更線を超えたことはありません。
退勤時間については、
社長より先に帰ることは絶対に許されません
また、基本的に土日は休日、
祝日は出勤で、
まれにイベント等で土曜日の出勤を命じられることもありました。
まとめるとこんな感じです。
給与:最低時給のバイト扱い、残業代は出ない
勤務時間:9:00-21:00の12時間 遅い日は23時まで
年間休日:100日前後
3か月で正社員になれなかった時点で、
きっぱりと辞めるべきでした。
なんでまだ正社員になれないですか?と何度も聞きましたが、
売り上げが足りていない
努力が足りない
レベルが低い
などいろいろな理由を付けて、
絶対に正社員にはしてもらえませんでした。
また、長く辞めなかった理由は
前職漆黒企業の反動で、
・基本的に土日が休み
・勤務時間が日付をまたがない
・暴力がない
ということがラッキーだと感じていました。
先輩社員に
その考え方おかしいから改めた方が良いよ
と言われて
ハッとしたことを覚えています。
ワンマン社長の暴言がひどすぎる
社長はとにかく暴言がひどく、
入社したばかりの私も
「社会人としての常識のないクズがッ!!」と
怒鳴られたことがあります。
毎日暴言を吐き続けていたので、
例を挙げるときりがないのですが、
一番ひどかったのは、
妊娠を報告した社員に対して
仕事もできないくせに子どもばっかり作りやがって!
生むまで休まず働けよ!
と怒鳴ったことでしょうか。
これに対して何も言わない
私をはじめとした社員もおかしいのですが、
あまりにも日常的に暴言があるので、
感覚がマヒしてしまっていたのだと思います。
こんな調子なので、どんどん社員が辞めていきます。
とにかく人の入れ替わりが激しい
私がいた1年半の間に、
50人以上の人が辞めていきました。
最短記録は3時間
40歳くらいのおじさんでした。
入社した日の社長の機嫌が悪く
入社のあいさつをした瞬間
「気持ち悪いおやじが入って来たな!」と言われて、
お昼の休憩に出たまま戻ってきませんでした。
すぐに決断が出来るとても頭の良い方だったのだと思います。
社長以外に10年以上働いている古参社員が5人いて、
それ以外は常に新入社員
という状態でした。
短い人で1週間、長い人でも3か月ももたず、
私がいる間に1年以上続いたのは私を入れて4人、
そしてその4人は全員精神を病んで退職しました。
なぜそんな会社に多くの人が入社してくるのかというと、
掲げている企業理念が素晴らしく、
最もらしいことを言っているからです。
また、県や市に何度も表彰されており、
企業としての信頼もあります。
これに騙されて、
私のように「社会に貢献したい」と思った若者が、
どんどん入社してくるのです。
今は転職口コミサイトなどもあるので、
さすがに入社人数は減っていると思います。
口コミサイトを調べてみたところ
今まで務めてきた中で一番いやな会社でした
身についたのは社長の罵詈雑言に無の心を持ち続ける精神のみ
などと書かれていて笑いました。
私もまったく同じ感想です。
嘘だらけの仕事
社長の暴言だけでなく、
「嘘をつかなければいけない」ことがつらかったです。
基本的に新入社員は広告営業の仕事をするのですが、
雑誌の発行部数が嘘でした。
発行部数は公称部数の半数以下でした。
必死で営業をして、
安くはないお金を広告費用として受け取り、
クライアントから
「全く反響がなかった」
と言われるときの悲しさは今でも忘れられません。
やっていることはほぼ詐欺と変わらないので、
「社会貢献がしたい!」と言う思いで入社してきた人は、
ほとんどがこの事実を知って辞めていきます。
精神を病む
1年くらい働いたころ、
どうも自分がおかしくなっていることに気付きました。
日中もあまり頭が働かず、
ぼーっとしている時間が多くなり、
打ち合わせ中、クライアントに「大丈夫ですか?」と聞かれて、
心療内科の受診をすることにしました。
自分が精神を病むなど全く考えていなかったので、
ちょっと疲れているのかな、程度でしたが、
受診が終わったときには多くの薬を渡され、
はっきりと病名が付けられていました。
医者が言うには
「ストレスから離れることが一番の療養になる」
とのことでした。
社長の暴言
ノルマへのプレッシャー
正社員になれない焦り
クライアントに嘘をつく辛さ
など、
ストレスの原因は会社にあることは明白でした。
恐らく一番大きかったのは、
このころに書店対応をするようになって、
大きなストレスを感じていたことです。
書店対応とは、
毎月書店に新刊を持っていき、
余った前号を回収する仕事です。
これをやり始めて知ったのが、
ほとんどの店舗で1冊も売れておらず、
先月持っていった雑誌をそのまま持って帰っていました。
これがとにかく地獄でした。
私の基本業務は営業なので、
うちの雑誌は凄いですよ、
これだけ発行していて、このくらい効果があると思います、
ぜひ広告を出稿してください、
とクライアントに話すのが仕事です。
そして実際に
いくつものクライアントに広告出稿をして頂いたのですが、
反響があった
と言ってくれる会社はほぼいませんでした。
古参の先輩社員には
「1回では反響が出ずらいから、
2回、3回と出稿して反応を見ましょう」
と言うように教えられていました。
広告業が初めてだった私は
「広告とは反響が0のこともあるのだな」
ぐらいに思っていたのですが、
書店周りの仕事を始めてから、
雑誌が誰にも読まれていないのだから
反響がないのは当たり前
という真実を知ってしまいました。
公称部数と実際の発行部数に差があることは
ほとんどの社員が知っていたと思いますが、
実売数を知っているのは
書店対応をしている古参社員だけだったと思います。
1年以上働く珍しい社員(バイト)だった私は、
古参以外で初めて書店対応を任され、
実売部数の少なさを知ってしまったのです。
そして余った雑誌を倉庫に持ち込むことで、
過去の雑誌もほとんど売れずに、
倉庫に山積みにされていることを知りました。
書店対応で、実売がほぼ0であることを知ってから
紙面広告の営業ができなくなり、
社長の私に向かう罵詈雑言も激しくなっていきました。
退社
診療内科受診後、
こういう病状でした、
と会社に報告しましたが、
特に何の反応もなく、
これまでと同じように
カスだ、クズだと言われる日々が続いていました。
正直この罵詈雑言はどうでもよかったのですが、
これまでのクライアントへの罪悪感が大きくなり、
とても働ける状態ではないと思ったので
退職したい旨を伝えました。
辞めると伝えた後の社長は、
「お前はどこに行っても通用しない」
「1年経って少しも成長しなかったクズ」
「詐病で辞める嘘つき」
など暴言を言い続けてきました。
それらをすべて聞き流して
無事に退社できたのでした。
退職後、みるみる病状は回復したので、
原因が会社にあったことは明らかですね。
今考えれば会社を訴えればよかったですが、
あの頃はそんなことを考える余裕もなかったです。
この企業から得られたもの
この出版社で働いて「営業力」は付きました。
営業電話をかけてアポをとり、
広告を販売するということを覚えました。
売上もノルマは達成していましたし、
ノルマに対して200%達成したこともあります。
着実にやれば営業実績は上がる、
と知れたのは非常に良かったです。
また、実売数を知って紙面広告を売ることが出来なくなった後に、
イベントやパンフレット制作など、
紙面以外の営業が出来るようになったことも良かったです。
会社はそれらを求めていなかったので、
文句は言われましたが、
社内にあるものを使って新たな商材を作る
という技術は、
そのあとの仕事にも生かされています。
ブラック出版社で得られたのは、
・営業力
・新規事業立ち上げ能力
でした。
ちなみに、
私はこの会社で営業力等を身に着けましたが、
ブラック企業でなくとも身につく能力なので、
そこは勘違いしないようにお気を付け下さい。
ブラック企業に入らないために
私は2社目もブラック企業に勤めてしまいました。
1社目の際にも書きましたが
「企業研究」はとても大事です。
転職時にしっかり企業研究をしていれば、
この社長のうわさについても知ることが出来たかもしれません。
また現在は転職サイトで
社員の「口コミ」も見られるので、
それらを確認して、
どんな会社か調べることは必須だと思います。
また、もしブラック企業に入ってしまった場合
すぐに辞めることをお勧めします。
例えば今回のブラック出版社なら、
3か月たった後に正社員になれなかった時にすぐ辞めるべきでした。
ブラック企業は
いろいろな理由を付けて
虚偽の募集要項を正当化してきますが、
そんな会社はそのあとも嘘をつき続けてくるので、
長く勤めても良いことはありません。
失敗したな、
と思ったらすぐに辞めて
もう一度転職活動をしましょう。