2社目のブラック出版社を退職し、
精神的にもボロボロになっていたので、
次の会社は慌てずゆっくりと探すことにしました。
1か月ほどふらふらしながら、
資格の勉強をしたりして過ごしていたところ
1本の電話を受けました。
3社目への誘い
電話の主は、前職で知り合った方でした。
そこまで仲が良かったわけでもなく、
電話で話したのもこの時が初めてでした。
暇だったこともあり電話をとったところ、
「まだ就職先が決まっていないなら、うちで働きませんか?」という電話でした。
前職で私の働きを見て、営業として働いてほしいと思っていたそうで、
まだ就職活動も始めていなかったので、
とりあえず一度会ってみることにしました。
会いに行くと電話をしてくれた方(平社員)と
取締役の方の2名が待っていました。
取締役の方から、いくつかの質問と雇用条件に関する質問を受けました。
内容も悪くなかったので、最低給与25万を保証してくれるのであれば、入社してもいい、
ということを伝えました。
その場で給料の確約は出来ないとのことだったので、
後日部長面談、社長面談を受け、
それぞれに最低給与25万円ほしいことを伝え、
3か月の試用期間付きで入社が決定しました。
入社、そして労働開始
入社後、メインはフリーペーパーの営業でした。
当時フリーペーパーはまだまだ強く、
特にこの会社は地方都市の絶妙な地域限定でフリーペーパーを発行していたこともあり、
かなり人気がありました。
前職のように発行部数の嘘もなく、
戸別配布や駅前配布も行っており、
知名度も高かったため、営業も楽でした。
また、30歳以下の若い社員が多く、活気があり
これからこのフリーペーパーを大きくしていこうというパワーが感じられました。
後ろ向きな社員ばかりの企業で仕事をしてきた私にとっては新鮮で、
非常に良い刺激を受けて仕事をすることが出来ました。
また、フリーペーパーの紙面以外にも、
前職で培った知識を生かして
WEBサイト制作、チラシデザイン、ポイントカードデザイン、店舗デザインなど
1つのクライアントから複数の案件を獲得できたため、
入社直後から売り上げも面白いように上がりました。
労働環境
社員数
この会社はフリーペーパー以外に、
飲食やシステム開発、広告代理店業も行っており、
約50名の社員がいました。
勤務時間
既定の業務時間は朝9時から夜18時まで。
実際には18時に帰れることはまずありませんが、
残業も19時や20時で終わることが多く、
22時を越えたことはありません。
休日
土日祝日は休み。
月に1度、校正のための土曜出社がありましたが、
その日は午前で帰れます。
お正月も三が日休むことが出来ました。
人間関係
社員の方もみな良い人ばかりでした。
罵詈雑言は当然なく、
怒鳴られたり、暴力もありません。
若い社員が多かったので、
教え方も優しく、みんなでがんばろーと言う風土がありました。
正直労働環境については
これまでのブラックとは比べ物にならないくらい最高で、
初めて仕事に行くのが楽しいと思ったほどです。
試用期間が終了
3か月の試用期間が終わり、ついに正社員として働き始めました。
1か月が経ち、初めて正社員としての給与明細を受け取ったところ、
「総支給15万円」との記載が…
部長に明細の金額が間違っている旨を伝えたところ
その金額で間違いはない
という答えが返ってきました。
最低25万円を約束したから入社したのに、10万円も低かったら生活も出来ませんよ!
と憤慨しながら伝えましたが、15万は変わらないとのこと。
そのまま社長室に行き、話が違うことを社長にも伝えました。
社長からはこのような答えが返ってきました。
ほかの社員はみな25万円も貰っていない
新人のお前が25万ももらってしまうと皆から反発が起きる
お前の成績が良いこともわかっているから
おりをみて役職を付け、給与を25万円にするからそれまで待ってほしい
今考えると無茶苦茶な論理ですが、
そのころの私は、ほかの社員の方たちが好きで一緒に仕事をしたいと思っていたので、
給与を上げてもらえることを信じて金額は据え置きで頑張ることにしました。
しかし総支給15万ではほんとうに生活ができないため、
3か月後には必ず上げてもらうように伝え、
社長もその条件をのんでくれたので、
3か月間は15万円で我慢することにしました。
3か月後の給与明細
正社員になって3か月が経ち、
ついに給料が上がる予定の月になりました。
その間も営業成績は常にトップ、
毎月10件以上の新規開拓も行い、
新人の教育も担当しました。
しかし総支給15万円(手取り12万以下)では
本当に生活ができず、貯金を切り崩していました。
給料を上げる約束をした月の給与明細には
総支給額18万円
と書かれていました。
予定額の25万円より7万円も少ない。
これではまるで話になりません。
私は給与明細を受け取って
そのまま社長室に行き、
話が違うことを伝えました。
社長からは
確かに25万円ではないが、
この短期間で3万円も給料が上がった社員は他にいない
うちではトップの給与上昇率だ
と言い訳をされました。
給与の上昇率など私にはまったく関係ないので、
25万円の給料がもらえないのであれば
退職する旨を伝えました。
社長に必死に引き止められ、
他の社員との兼ね合いもあり、
給料は上げられないが、
インセンティブとしてこれまでの不足分も支払ってもらう約束を取り付け、
その場は収まりました。
当然その後もなんだかんだと理由を付けて、
25万円の給与を支払ってもらうことは出来ず。
試用期間も入れて約1年つとめて退社しました。
他の社員の給料について
他の社員の方と話すうちに
給与のことを聞くこともあり、
その安さに驚きました。
基本的に給料は14-18万、
課長クラスでやっと25万円でした。
まず新卒も中途もはじめは14万スタートです。
その後、主任クラスになると16万、
そこから成績次第で18万まで上がります。
私がもらっていた18万という給料は、
実際に平社員の中では最高額でした。
実は給料が安いのは社長の策略で、
社長は、
2-3年働いて給料が上がる前に辞めてほしい
という考えを持っていました。
四半期に1回行われる業績発表の
売上トップのインセンティブは1万円でしたし、
ボーナスはありませんでした。
若者を安く使ってお金を稼ぐ
と言う経営方針だったのです。
恐らく皆、私と同じように
もうすぐ給料を上げてやる
と言われて頑張っていたのでしょう。
この会社を辞めた後も、
同僚だった方たちとはつながりがありましたが、
皆私が辞めてから1年程度で辞めてしまい、
3年後には営業がいなくなって
フリーペーパー自体がなくなった、
と聞きました。
まとめ
今回もまんまと騙されて
ブラック企業に入社してしまいました。
今回の学びは、
雇用契約書を作って、
入社時にサインしてもらう
ということです。
この会社以降、入社前には、
必ず雇用契約書を自分で作成して、
社長にサインをしてもらっています。
フリーペーパーという
衰退を余儀なくされる業態ではありましたが、
社員は本当に良い人たちだったので、
給与さえよければ、長く働きたかったです。
身についた能力は
プレゼン力です。
地域密着型のフリーペーパーだったので、
個人経営のお店の方に営業をかけていました。
広告専門部署もない個人経営の方に
いかに短い時間で広告出稿を決定してもらうか、
ということをつきつめて、
資料の作りこみ、
営業ワードの絞り込みを行っていました。
また、フリーペーパー紙面の営業というより、
店舗コンサルの気持ちで臨んでいたため、
はじめは紙面だけでも、
ポイントカード、WEBサイト、通販、看板、外装、新店舗など
1つの店舗から任せてもらえる仕事が増えていくのも楽しかったです。
社長が人材育成に力を入れていれば、
今でも地方代理店としてみんなで働けていたのかも知れません。