ユーフォルビア・アンボボンベンシスの実生研究|2024年の失敗と2025年の改善
マダガスカルのごく限られた地域にのみ生息する塊根しょくうぶつ「ユーフォルビア・アンボボンベンシス」
近年日本でも一部のホームセンターで販売されるなど、実生株が多く流通するようになってきました。
しかしまだ育成情報は少なく、特に実生については「どう育てるのが正解なのか」が分かりづらい植物です。
私は2024年から育てていますが、
花も咲きやすく、種を取るのも難しくないので、
実生を楽しむ趣味家に、おすすめできる植物と思っています。
しかし、失敗するとうまく育たないので、
・自生地の気候情報
・私自身の2024年と2025年の実生結果
の2つの情報を元よりうまく実生株が育つ条件を考察してみます。
youtubeで同じ内容を配信しています。
動画が良い場合は、こちらをご覧ください。
アンボボンベンシスの自生地
アンボボンベンシスは、マダガスカル南部のごく狭い地域「アンブブンベ」のみに自生しています。
植物名によくある「ensis」は「どこどこ産の」という意味なので、
アンボボンベンシスは「アンブブンベ産の植物」という意味になります。
アンブブンベの気候
ケッペンの気候区分
マダガスカル全体をケッペンの気候区分に照らし合わせると、
下の図のようになっています。

アンブブンベはステップ気候です。
■ステップ気候
ステップと呼ばれる丈の短い草原が広がる乾燥帯。
雨季と乾季がある。
アンボボンベンシス自生地の平均気温
下記はアンボボンベンシスの自生地「アンブブンベの年間平均気温」です。

特徴的なのは、冬でも最低気温が15度あることです。
平均気温の裁定が15度なので、実際はもう少し暖かい日も多いと考えられます。
さらに、冬でも日中は24度程度まで上がります。
日本(東京)と比べるとかなり暖かいことがわかります。
2025-2026年に私が自宅のベランダで記録した温度は下記です。
【東京の最低/最高気温】
2月:最低-2.6度 / 最高24.7度
8月:最低26.7度 / 最高41.5度
平均すると2月の最低気温は3度になります。
東京とアンブブンベには、
冬の平均最低気温に12度もの差がありますので、
アンボボンベンシスを日本で冬に外管理することは難しい、と考えられます。
最低平均気温の15度で管理するとどうなるか。
私はアンボボンベンシスの実生を室内で管理していますが、
2024年は、部屋の最低温度を15度に設定して管理していました。
※エアコン管理
その結果がこちらです。↓

夏に種をまき、その年の冬に15度で管理した場合、
発芽した苗が育ち切らないままに葉を落として休眠してしまいました。
これは塊根植物全体にいえることだと思いますが、
播種後、ある程度の大きさに育つ前に葉を落として休眠させると、
その後、うまく成長してくれません。
上の写真は播種後、2年経過していますが、
環境をどれだけ変えても大きくなってはくれませんでした。
つまり、
アンボボンベンシスにとって、
最低気温15度管理は温度が低すぎる、
ということです。
実生をする際は、いかに葉を落とさない温度を見極めるか、
と言うことが重要だと思います。
ちなみに室温は、Switch Bot ハブミニを使用して、
自動でエアコンのスイッチが入るようにしています。
最低平均気温の18度で管理するとどうなるか。
2025年は、昨年の失敗を反省し、
最低気温を18度に設定して管理しました。
たった3度の違いですが、結果はかなり変わりました。
2025年9月に播種し、2026年4月現在の姿がこちらです。↓


冬の間も葉を落とさず、むしろ葉の数が増え、半年でしっかりと塊根が太ってくれました。
アンボボンベンシスは、最低気温を18度以上にすれば、実生1年目でも葉を落とす心配がないことがわかりました。
これは気温条件だけを見ていますので、他の理由もあるのかも知れません。
今年も種をまいて、いくつかの条件で試してみたいと思います。
現地の気温を調べる際の注意
現地の気温を調べるときに、
その土地の最低気温が15度だからと言って、
育成温度を最低気温に合わせた15度にしてしまいませんか?
それは東京の植物を「寒冷地で最低気温-2.3度の部屋」で育てるようなものです。
これではうまく育つはずがありません。
私もやりがちなので、注意しているのですが、
最低気温はあくまで最低気温で、
冬は、現地の平均最低気温よりも少し高めに設定する
ことが重要なのだと、最近気づきました。
冬のエアコン管理が難しい場合
エアコンで最低気温を管理するのが難しい場合は、育苗器を使うのもおすすめです。
育苗器の中に温度計を入れれば、最低気温をかなり安定してコントロールできます。
また、室温18度程度の部屋でも、育苗器を使えばさらに高温管理ができます。
アンボボンベンシス以外の、より高温を好む植物にも応用しやすい方法です。
上記の昭和精器の育苗器には、
プラステラ90が12個入ります。
温度計を入れなくても、ダイヤルで大体の温度を保つことは可能です。
冷えたら自動で付き、熱くなったら自動で消えてくれます。
使用の際は川砂を底に引く必要がありますので、
一緒に購入を忘れずに。
※発熱器具から川砂を伝って、じんわり温度が暖かくなります。
水の重要性
サバナ気候の植物ですが、水はかなり重要です。
というのも、2025年に一部の種がこぼれて、親株の土にこぼれたのですが、
それらは最低温度18度で管理下にもかかわらず、全然成長していません。

親株への冬の間の水やりは2週間に1回程度でした。
2024年の実生と同じように、ここから大きくなることは難しいのではないかと思います。
それでも葉は落ちていないので、
休眠させないためには温度が必要で、
大きく成長するには水が必要なのだと思います。
私は、播種から発芽、その後1か月程度までは、メネデールを入れた腰水管理にしています。
その後も一定の大きさになるまでは腰水を続けます。
腰水も浅くではなく、かなり深めにしています。
大体プラステラの赤線の位置まで水を入れて腰水管理をしています。

水の量が多すぎでは?と思われるかもしれませんが、
水量は少ないよりも、多い方がうまく育っています。
何日かして減ったら継ぎ足し、
1週間に1度、容器を洗って完全に水を入れ替えています。
土について
土については、2024年と2025年で大きく変更していません。
- 鉢底:軽石、もしくは鹿沼土中粒
- 中間:鶴仙園の土+竹炭
- 表土:赤玉土細粒
中間層は、市販の「塊根植物の土」でも問題ないと思います。
表土については、さしめ種まき用の土も試しましたが、現状では赤玉土細粒が最も成長が良い印象です。
土に関しては色々なものを使用しましたが、
現在は鶴仙園の土に落ち着いています。
その経緯は下記の生地をご覧ください。

ライトについて
ライトは植物育成ライトを1日10時間程度当てています。
勝者距離は約20㎝です。
極端に強いライトではなく、一般的な植物育成ライトで十分育っています。
メインはBRIMの植物育成ライトです。
まとめ
現時点で、アンボボンベンシスの実生で重要だと思うのは、以下の2点です。
・冬は室内で管理し、最低温度は18度に設定する
・播種後、塊根が1.5cmを超えるまでは腰水管理をする
まだ2年分の結果だけなので、今後も条件を変えながら検証を続けていきたいと思います。
今年も記録を続けます。
